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| ニンテンドー クラシック・ミニファミコン  | 
実は任天堂Switchも保有していて、そちらでもオンラインでマリオオープンゴルフが楽しめる(また特典でオリジナルサイズのファミコン・コントローラーも買えるらしい)。Switchオンラインはミニファミコンと違って、一つ一つ「コース」をクリアしていかなくても、最初から全コースオープンなので、<Japan>から<UK>コースまでどれも普通に選んでチャレンジできる。しかし当たり前だが難易度も打数制限も一緒なので、<Hawaii>の場合は4オーバー、<UK>の場合2オーバーを超えると、その先のホールには進めない(しかし2オーバー!って…)。ミニファミコンのコントローラーは、サイズが小さいのとケーブルが短いところが不評だが、指先に力の入るアクションゲームでもないかぎり気にならない。特にマリオオープンゴルフは、思わず力が入って押すのは、スイング時に3回押す「Aボタン」(スタート時で1回)の、スイング・トップ(2回目)とインパクト(3回目)の2度だけなので、慣れたら小さいコントローラーでまったく問題ない。そういうわけでSwitchではなく、手軽なミニファミコンでずっと楽しんでいる。<Hawaii>や<UK>がクリアできなくても、<Japan>、<Australia>、<France>各コースでベストスコアを出すことにチャレンジできるし、各コースをランダム・ミックスした<Extra>コースでは、毎回違うホールの組み合わせが楽しめる。個人的には、<Australia>コースが、おおらかで楽しく、いちばん気に入っている。
お一人様で遊ぶ場合、「STROKE PLAY」ではなく「MATCH PLAY」を選択して、コースを選び、さらにルイジ、トニー、ビリー(順次強くなる)という3人の中から誰かを選んで二人(?)で回れば、「STROKE PLAY」と違って打数オーバーの制限がないので(試したが、1ホール内で何打でも叩ける。練習にもなる)、よほど相手に引き離されないかぎり、どのコースもかなり先まで進める(9番ホールまで全敗しても、10番ホールまではプレイできる)。それに、相手(コンピュータ側)がどういうプレイをするのかが分かるので(意外な戦法にびっくりするときがある)、遊び方の参考になる。難しい<Hawaii>でも<UK>コースでも、頑張ればそこそこのところまでは進めるので、一度<Hawaii>も<UK>も各ホールをプレイしてみたいと思う人は、(上記セーブ方法と並んで)「MATCH PLAY」を選んで練習するのがお勧めだ。「CLUB HOUSE」では、使用クラブの選択、自分のスコア記録、コースごとのベストスコア、指定したホールでの練習が何回でもできるし(難しいホールはこれで攻略のコツをつかむ)、バーディやイーグル、ホールインワンなど、自分のスーパープレイの再現画像も楽しめるなど、至れり尽くせりだ。またプレイ中に「Bボタン」を押せば、コース、グリーン、ライ、スコアなど各種情報が見られる。
ゴルフをやった経験のある人なら、誰でもこのゲームにはハマるだろう(ゴルフをやったことのない人には、このゲームの出来の素晴らしさと面白さはよく分からないかもしれない)。コース設計(距離、障害物、グリーンの傾斜、芝目など)、ボールのライなどのプレイ環境(フェアウェイ、2段階のラフ、バンカー)、自然条件(風向き、風の強さ)等々の情報を分析し、毎回スイングのスピード(速、普通、遅)、クラブ(ウッド、アイアン、長さ)、打球(打点/順逆スピン、左右方向、高低)を選択し、最後にバックスイング(打力メータ)のトップ位置、インパクト位置(中心、フック、スライス)を操作し、その結果ボールがイメージした通りに飛んでいく爽快感を得るというゴルフの醍醐味が、家にいながらにしてテレビ画面で味わえる。風やラフで思い通りに打球が飛ばず、距離が出ないことも多々あるが、これも実際のゴルフとまったく同じだ。自分のスイング傾向を知ってクラブを選択する必要もある(トップのタイミングが合わないとボールは飛ばないし、インパクトの位置がずれても同じ。実際のゴルフと同じく、スイングはその日の体調ーリズム感が影響する)。障害物や風を計算して、ドロー/フックやフェイド/スライス、ハイ/ローボールを打ち分けることもできる(これは実際の素人ゴルフでは夢だが)。これらの条件設定に応じて、打球がほぼ予想した通りの方向や飛距離になるところも、ゲームの基本設計の素晴らしさだ。唯一パッティングだけは、何度もやってグリーンの芝目と傾斜の傾向を感覚的に読むことに慣れるしかないようだ(これも実際のゴルフと同じか)。もう一つ、このゲームの良いところは、画面やキャラのデザインがシンプルで、しかも遊びに妙なプレッシャーがなく、あわてることなく自分のペースでのんびり楽しめることだ(高齢者向き?)。それに、スコアばかりを気にする「STROKE PLAY」ではなく、「MATCH PLAY」で人柄のいい(? たまにミスをしてくれる愛嬌がある)ルイジをパートナーにのんびり回ると、とてもリラックスできる(これも本物のゴルフと同じだ)。いずれにしろ、ファミコン用に30年も前に開発されたこの「マリオオープンゴルフ」(1991) は、これ以上望むものもないくらいの、ゴルフゲームの頂点というべき完成度を持ったテレビゲームだ(その後のゲームはあまり知らないが、これ以上のものは必要ないと思う。Switch用の別のゴルフゲームもやってみたが、いくら3Dの凝った画像でも、ゲームとしての完成度と面白さは比較にならない。)たぶんマリオの開発設計がバブル期で、かつゴルフ全盛期でもあったという時代背景が、当時の技術的限界をものともせずに、このゲームの開発者(天才?)のモチベーションと創意を否応なく高めた結果だろうと思う。本当に素晴らしいゲームだが、惜しむらくは、何度も言うが、<Hawaii>と<UK>コースの難度が高すぎることか? もう少し、中高年向けにハードルを下げて遊ばせて欲しかった……。当時あまり売れなかった、という記事をどこかで読んだことがあるが、このせいか? パートナーに新キャラ「しぶこ」でも登場させて、少しハードルを下げてゲームをリニューアルしたら、今でもヒットするんじゃないだろうか、ニンテンドーさん?


