セロニアス・モンクを単なるジャズ・ピアニストではなく、「作曲家 (composer)」として聴くというコンセプトを発見(?)して以来、モンクを聴く楽しみが倍加した。モンク本人以外に、別のプレイヤーが演奏したモンク作品にも興味が湧いて、誰かがモンクの曲を演奏したレコードを見つけると、聴いてみたくなってつい手に入れてしまうからである。各奏者がモンクの書いた曲をどう解釈し、演奏しているのか、それぞれの違いが興味深いし、その比較がとても面白い(細かな技術的な違いが分かるわけではない。あくまで感覚的なものだ。念のため)。時代ごとに、楽器ごとに、バンド編成ごとに、そして奏者のモンク解釈とモンクへの思い入れごとに、それぞれ違うプレイが楽しめる。それに、耳タコになったようなジャズ・スタンダード曲と違って、モンクの曲は何度聴いても、聴くたびに新鮮さがあって、飽きないのである。<Epistrophy>と<Round Midnight>という代表曲の他に、<Ruby, My Dear>,<Reflections>,<Ask Me Now>など美しいバラード系の曲がモンク・スタンダードと言うべき曲で、多くのミュージシャンに取り上げられている。モンクの生前、あるいは1982年の没後にトリビュートされた同時代の主要ミュージシャンによるレコードもかなりある。もちろんそれらも興味深いが、モンクの音楽にはジャンルや時代を超えた不思議な魅力があるので、没後しばらく経ってから比較的新しい世代のミュージシャンたちによって録音されたものは、時代が異なるので音楽的解釈も新鮮かつ多彩で更に面白い演奏が聴ける。
Monk in Motian Paul Motian 1988 JMT |
* 収録曲は以下の10曲。(GA=Gerry Allen, DR=Dewey Redman)
Crepuscule With Nellie / Justice (Evidence) / Ruby, My Dear (+GA) / Straight No Chaser (+DR) / Bye-Ya / Ugly Beauty / Trinkle, Tinkle / Epistrophy (+DR) / Off Minor (+GA)/ Reflections
Jurassic Classics James Carter 1994 DIW |
* 『Monk』収録曲は以下の12曲。
Let's Cool One / Pannonica / Work / Brilliant Corners /In Walked Bud / Monk's Mood / Well You Needn't / Bemsha Swing / Played Twice / Ruby, My Dear / Blues 5 Spot / Reflections
Kurt Rosenwinkel Reflections 2009 Wommusic |
Epistrophy Bill Frisell 2019 ECM |